CLT工法とは
木造建築の可能性を広げる革新的技術
木造で9階建ての建物を――。これまで考えられなかった規模の木造建築物が、ヨーロッパではすでに誕生しています。
それを可能にしたのが、従来の合板とは異なる〝木の塊〟のような大型集成材パネルを使う「CLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)工法」です。
私たちはこの工法に惚れ込み、アドリア北出丸カフェの構造材に国内で初採用しました。
そして2014年秋に、県内企業と共同してCLTを用いた集合住宅の建設が竣工しています。
CLTとは?
- Cross Laminated Timber(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)の略で、1990年代にオーストリア製材メーカーが開発した大型集成材「クロスラミナ(直交積層)パネル」および、それを用いた工法のこと。
- ヨーロッパでは、一般住宅から大型施設、9階建ての集合住宅まで幅広く使われ、カナダやアメリカでも規格整備が進むなど、近年急速に需要が拡大している。
引用:Lend Lease
引用:Lend Lease
製法(一般的な集成材とのちがい)
- 一般的な集成材は、張り合わせる板の繊維方向を同じ方向に積み重ねる。
- CLTは、板の繊維方向を1枚ずつ90度クロスさせて積み重ねる。(直交積層)
特性・優れている点
- 直交積層のため、木材の膨張や収縮を抑えられる⇒高い寸法安定性が得られる
- 製品に厚みがある(通常で50~250㎜)
⇒優れた断熱性,遮音性,耐火性を発揮
⇒省エネルギー効果も高まる
- 大判のパネルとして利用できる(欧州では幅3m×長さ16mが一般的)
⇒高い耐震性を確保できる
- 工場で製造・加工される
- 施工がシンプル
⇒工期を大幅に短縮できる
木造建築を新たな領域へと押し上げる多くの利点を持つCLT工法。国も普及促進に動き出しています。
国内のCLTに関する動き
2012年2月、3階建て試験体の振動実験を実施。
目立った損傷は見られず、十分な耐震安全性を実証。
- 国土交通省国土技術政策総合研究所、(独)防災科学技術研究所、(株)日本システム設計による実験
- スギCTLパネル使用(壁150×1,000×3,000㎜、床180×1,000×4,000㎜)
- 屋上に+2階分を積載し、5階建ての想定で実施
- 試験体の長辺方向のみに加振、JMA神戸NS波
2014年1月、日本農林規格(JAS)施行。(日本での名称は「直交集成板」に)
林野庁はCLTの国内普及を目指しており、2020年東京オリンピックの施設建設にも利用したいとの考えを示している。